ソプラノ・サックスについて   



サキソフォーンは、1840年代にベルギーの楽器職人アドルフ・サックスが発明したことからサキソフォーンと名付けられたもの。最初に作ったのがテナー・サックス、続いてテナーよりもう少し音程の高いアルト・サックスが誕生。バリトン・サックスやソプラノ・サックスが登場するのはさらにしばらく経ってからのことである。

ソプラノ・サックスはアルト・サックスよりもさらに1オクターブ高いキーに設定されている。クラリネットに似た直線形のものが一般的なスタイルだが、いわゆるサックスの形をそのまま縮小したデザインのものもある。

ソプラノ・サックスがジャズの世界で一般的になってきたのは1960年代、古くはシドニー・ベシェがクラリネットからこの楽器にスイッチして話題を呼んだこともあるが、ポピュラーな楽器として認識されるようになったのはジョン・コルトレーンが積極的に使い出してからになる。

以前はオーケストラのサックス・セクションで、音域の幅を広げるためにテナーやアルト奏者が持ち替えて吹くケースが一般的だった。コンポ編成のソロ楽器として普及し始めたのは、コルトレーンが60年「マイ・フェイヴァリット・シングス」で衝撃的な奏法を披露してからのことである。

この後には、コルトレーンの他にウェイン・ショーターも吹き始め、この両者が後のサックス奏者にソプラノ・サックスの魅力を伝えたといってもいい。アルト奏者よりもテナー奏者にソプラノ・サックスを吹くひとが多いのは、この2人の影響によるもの。

ところで、ソプラノ・サックス専門のプレイヤーというのはなかなかいませんが、ひとり存在します。スティーヴ・レイシーです。レイシーはコルトレーンよりも古く、50年代後半にはソプラノ・サックスで演奏、以後2004年に亡くなるまでソプラノ・サックス専門でした。レイシーはフリー・ジャズで高度なテクニックをもって聴く者を魅了し続けました。

スティーヴ・レイシーは、生涯リーダー作品100以上発表しています。この中にはソロ作品(ソプラノ・サックス一人の演奏)が少なくても20作品以上含まれています。このソプラノ・サックス作品では、レイシーを中心に選りすぐりの作品を取り上げています。自分で聴いて感じたこと、調べたことなどを書いています。途中ジョン・コルトレーン等のソプラノ・サックス入作品なども取り上げていきます。 


     steve lacy