 Native Dancer |
テナー・サックス奏者ウェイン・ショーターは、 １９５９年アート・ブレイキー＆ジャズ・メッセンジャーズに参加して注目を集め、同年ヴィー・ジェイに初リーダー作を録音する。６１年、ジャズ・メッセンジャーズの初来日にも参加して、日本にファンキー・ジャズ・ブームを巻き起こす。６４年、マイルス・デイビス・クインテットに移籍し、当時のメンバーであるハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウイリアムスたち等と中心となり、新主流派ジャズと呼ばれる音楽が広く普及していく。６６年にマイルス新主流派ジャズの代表作｢マイルス・スマイルズ｣にショーターが参加。マイルス・グループに参加している間、ブルーノートへ数々のリーダー作品を録音する。後にソプラノ・サックスもプレイし始める。６９年、マイルスがロック・リズムを取り込んだ｢イン・ア・サイレント・ウェイ｣、「ビッチェズ・ブリュー｣にもショーターが名を連ね、これらの作品は、７０年代以後のジャズ・シーンの動きに大きく変わるきっかけとなる。 ショーターは、１９７０年１２月、ジョー・ザヴィヌルとウェザー・リポートを結成する。７１年から次々と作品を発表し、時代の先端を行く大胆なフュージョン・サウンドを聴かせ、多くのプレイヤーに影響を及ぼす。この間、６９年録音「スーパー・ノバ」以来、ブラジル音楽への関心を高めるようになったショーターが、ブラジルのシンガー＆ソングライターのミルトン・ナシメントを迎えて本作品を録音する。ショーターやハービー・ハンコックらのジャズ側とナシメント以下のブラジル側の双方がそれぞれの主体性を貫きながら展開した活力溢れるサウンドには両者の音楽性が見事に融合し、類稀な美しさがある。なお、ミルトンは全９曲中、５曲に参加している。 １曲目〈ポンタ・ジ・アレイア〉は、シンプルなメロディーに、ハンコックのシングル・トーンに伴われたミルトンのファルセット（裏声に似た言葉）で始まり、不思議な魅力を持った歌声に続き、ショーターの広がりのあるおおらかなソプラノ・サックスが響きます。曲の終わりに、ミルトンの澄んだ歌声とショーターのソプラノ・サックスが溶け合って、見事なサウンドが生み出される。 youtube.com/watch?v=2iZ7id-lxXo ２曲目の〈美女と野獣〉は、アコースティック・ピアノ、パーカッション、ベース等のバックの演奏が、フュージョン・サウンドを繰り広げる。だがソプラノ・サックスのショーターは、ジャズ的アドリブの素晴らしいソロを聴かせている。フュージョンとして優れた曲です。 ４曲目〈ミラクル・オブ・ザ・フィッシュ〉は、ミルトンの"一人コーラス"したオーバーダビングのある曲。激しい曲調で、後半を盛り上げていくショーターがテナーからソプラノに持ち替えて熱いソロを展開している。 youtube.com/watch?v=c-rCgcW4dNQ ６曲目〈孤独の午後〉は、本作の中では唯一ミルトンの新曲。歌詞はなく、ドライブ感のあるリズム陣、活気的な曲調のなか、ミルトンのスキャットとショーターのテナー・サックスとのインタープレイを聴くことができる。 youtube.com/watch?v=36depo1-ji0 ７曲目の〈アナ・マリア〉は、ボサノバ調のリズムに乗って、やわらかな風のようにショーターのソプラノ・サックスが吹き抜けていく演奏。 ８曲目〈リリア〉は、緊張感がみなぎる中、ミントンによるテーマがはじまり、ソプラノ、再びミントン登場で徐々に盛り上がっていく、後半、このアルバム最大の聴き所、激しい曲調の中、ショーターのソプラノ・サックス・プレイ、何といってもアドリブが素晴らしいです。さらにドラムスを含め気合いの入った演奏です。 youtube.com/watch?v=YJvT9F4Qnwo ９曲目の〈ジョアンナのテーマ〉は、ハンコックの流麗なアコースティック・ピアノとショーターの透明なソプラノ・サックスの絡みが実に美しいです。この曲は、ハンコックが映画"狼よさらば"のために作ったものです。 youtube.com/watch?v=jwURt_9XfNw ネイティブ・ダンサーの商品詳細ページ  へ |
録音 １９７４年９月１２日 1. Ponta De Areia 5:14 2. Beauty And The Beast 5:12 3. Tarde 5:46 4. Miracle Of The Fishes 4:46 5. Diana 3:01 6. From The Lonely Afternoons 3:13 7. Ana Maria 5:07 8. Lilia 7:01 9. Joanna's Theme 4:21 -パーソネル- ウェイン・ショーター ss, ts, p, elp ミルトン・ナシメント vo, acg ハービー・ハンコック p, elp ワグネル・チーゾ elp, org, b ジェイ・グレイドン g, b デヴィット・アマロ g, acg デイヴ・マクダニエル b ロベルト・シルヴァ ds, perc アイアート・モレイラ perc |