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 クロッシングス / ハービー・ハンコック  




Crossings






1960年代にブルーノートで活躍したハービー・ハンコックは、69年ブルーノートを離れ、ワーナー・ブラザース・レコードに移籍する。ここからは同時期のマイルス・デイヴィスと同様に大胆にエレクトリック・サウンドを取り入れた。

本作品はワーナー3作目で、前作「エムワンディシ」と同じセクステットにシンセサイザー、パーカッションのほかゲストが加わった構成。前作にも増してアフリカ志向が強まった感があり、あの「ビッチェズ・ブリュー」を思い起こさせるような、リズムを全面に押し出し躍動的でスリリングな演奏が展開されている。

1曲目の<眠れる巨人>は、ハンコックの作曲。ドラム、パーカッションの連打で始まり、それらをバックにエレピとベースが激しいファンクな展開。一旦リズムが止まり、その後トロンボーン中心にプレイし始める。続く11分過ぎに魅力的なリズム音楽が、ドラム、ベース、タンブリンをバックにピアノとシンセによる同じパターンを繰り返すファンキーな演奏。再びリズムが止まり、この後、ハンコックの切れ味鋭くリズミックなエレピが続く。次のパートは、ベニー・モウピンのソプラノ・サックスとベースがゆっくりプレイしていき、やがてテンポが速くなり、バックが盛り上がり、モウピンもノリノリの熱い演奏繰り広げる。最後はホーンのアンサンブルなどで締める。


2曲目の<クエイザー>は、ベニー・モウピンの作曲。フリー・ジャズ風で、ピアノによるイントロから幻想的な演奏へ。この後、モウピンのフルートを中心にシンセ、ベース、ドラムが激しいプレイを繰り広げる。続くトランペットのエディ・ヘンダーソンは斬新なプレイへと展開していく。
youtube.com/watch?v=s-z_kvYf810

3曲目もモウピン作曲<ウォーター・トーチャー>、シンセ、フルート、ドラム、パーカッションなどでアフリカ風リズムが始まり、トランペット、バスクラ、シンセなどが交錯し前衛的な演奏へと展開、やがてリズムが出てきて盛り上がり、このあと、前衛風に戻っていく。
youtube.com/watch?v=pe2AVaLyXwl

この作品は、2曲目と3曲目がフリー系の曲で、少し聴きづらいかも知れませんが、1曲目の24分以上の長尺曲が非常に優れた曲ですので、次作以降の70年代コロンビア作品より優先して、ここに取り上げています。

クロッシングスの商品詳細ページ
  録音 1971年12月
  1. Sleeping Giant 24:50
  2. Quasar 7:27
  3. Water Torture 14:04


  -パーソネル-
  ハービー・ハンコック p, elp,
  mellotron, perc
  パトリック・グリースン syn
  エディ・ヘンダーソン tp, fhr, perc
  ジュリアン・プリスター tb, perc
  ベニー・モウピン ss, bc, altofl,
  picc, perc
  バスター・ウィリアムズ b, elb, perc
  ビリー・ハート ds, perc
  ヴィクター・ポントーヤ congas

  others voices