ジャズ史に輝く不朽の名盤 |
カインド・オブ・ブルー ‐ マイルス・デイビス | |
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Recorded. March 2, April 22, 1959. Columbia. MILES DAVIS trumpet JOHN COLTRANE tenor sax CANNONBALL ADDERLEY alto sax BILL EVANS piano WYNTON KELLY piano (only on Freddie Freeloader) PAUL CHAMBERS bass JIMMY COBB drums 1. So What 9:02 2. Freddie Freeloader 9:33 3. Blue in Green 5:26 4. All Blues 11:31 5. Flamenco Sketches 9:25 6. Flamenco Sketches (Alternate Take) 9:32 |
モード・ジャズを代表する作品の一つで、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エバンスというモダン・ジャズ・ジャイアント3人を擁し、<オール・ブルース>や<ソー・ホワット>など、この作品にはモード・ジャズの基本となった演奏がいくつもされており、その後のジャズ・シーンに大きな影響を及ぼす。 1960年代に巻き起こした新主流派ジャズの原点はこの作品にあり、コルトレーンもこれを契機に独自のスタイルを確立していく。又、発売と同時に大きな反響を呼んだこの作品の演奏は、新時代のジャズとして60年代のジャズを主導する重要な歴史的役割を果す。 最初の〈ソー・ホワット〉は、ポール・チェンバースのベースとエバンスのピアノによるイントロから、チェンバースのベース・リフで始まり、ホーンアンサンブルが加わってくるという印象的なテーマ。マイルスのソロからテナー、アルトと続き、そしてエバンスのソロにホーンがかぶり、リズムといい、このパートは最高の演奏が繰り広げられる。 3曲目の〈ブルー・イン・グリーン〉は、エバンスが提供した曲で、マイルスのミュート・トランペットが悲しく鳴り響くスロー・バラード。続く〈オール・ブルース〉は、シンプルなメロディに、アンサンブルは絶妙である。ここでは、一定のリズムを響き続けるジミー・コブのドラムが素晴らしい。エバンス、チェンバースもがっちり安定している。 |
ジャイアント・ステップス ‐ ジョン・コルトレーン | |
![]() ジャイアント・ステップス (モノラル・ヴァージョン) 商品詳細を見る Giant Steps youtube.com/watch?v... |
Recorded. May 4 and 5, December 2, 1959. Atlantic. JOHN COLTRANE tenor sax TOMMY FLANAGAN piano PAUL CHAMBERS bass ART TAYLOR drums WYNTON KELLY piano (only Naima) JIMMY COBB drums (only Naima) 1. Giant Steps 4:43 2. Cousin Mary 5:45 3. Countdown 2:21 4. Spiral 5:56 5. Syeeda's Song Flute 7:00 6. Naima 4:21 7. Mr. P. C. 6:57 |
1958年にマイルス・デイヴィス・グループに復帰してからのジョン・コルトレーンは、「マイルストーンズ」、「カインド・オブ・ブルー」などの重要な作品の録音に参加して、いわゆるモード奏法への指向を深める。 そして、アトランティックに移籍して第1作目となったこの作品で、ハード・バップからの脱却、シーツ・オブ・サウンド(敷きつめた音という意味で、16分音符を基調として、高速でフレーズを構成して吹きまくる奏法のこと)という独自の奏法を編み出した。この作品以降コルトレーンの音楽は、作品を追うごとに、加速の度合いを強めていく。又この作品は、全曲自作で、タイトル曲の他に<Mr.P.C.><ネイマ>といった名曲が生まれている。 冒頭の〈ジャイアント・ステップス〉は、音の洪水のような演奏で、聴く者を圧倒する。まさに音符が譜面にずらりと並び、音を余すところなく敷き詰めたかのような非常に斬新な曲です。〈カウント・ダウン〉は、超アップ・テンポの曲。アート・テイラーのドラム・ソロから始まり、つづくコルトレーンが吹きまくり、次から次へと音を繰り出すコルトレーン・サウンド、後半からフラナガン、チェンバースが入る緊張感のある曲です。 5曲目の〈シーダズ・ソング・フルート〉は、旋回するような独特のコルトレーン・フレーズが満喫できる演奏。6曲目コルトレ−ンの定番曲〈ネイマ〉は、当時の愛妻ネイマに捧げたバラードで、ウィントン・ケリーのピアノがビル・エバンスのように美しく、張り詰めた雰囲気をうまく表しています。コルトレーンが盟友のチェンバースに捧げた曲〈Mr,P.C.〉は、アップ・テンポでコルトレーン・サウンドが堪能できる。 |
レフト・アローン ‐ マル・ウォルドロン | |
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Recorded. February 24, 1959. Bethlehem. MAL WALDRON piano JULIAN EUELL bass AL DREARES drums JACKIE McLEAN alto sax (only Left Alone) 1. Left Alone 6:03 2. Cat Walk 6:52 3. You Don't Know What Love Is 5:50 4. Minor Pulsation 8:10 5. Airegin 7:06 6. Mal Waldron : The Way He 4:09 Remembers Billie Holiday |
不世出のシンガー、ビリー・ホリデイ晩年の伴奏者だったマル・ウォルドロンが、1959年に他界した彼女に捧げた作品。タイトル曲の〈レフト・アローン〉は、マル自身がビリー・ホリデイの死の直前に彼女の詞に作曲した作品で、残念なことにビリー自身の録音は残されていない。ベツレヘムから発表されたこの作品は、発売以来日本で驚異的なベストセラーとなり、同時にマルもこの作品によって以後不動の人気を獲得する。 演奏の方は、タイトル曲以外の残り4曲はピアノ・トリオの演奏になります。まず1曲目の〈レフト・アローン〉は、一人残されたもの悲しい心境が見事に描き出されている。又、この演奏にだけ参加しているジャッキー・マクリーンのアルトが哀愁のメロディーを切々と歌いあげた名演となっています。マルのオリジナル〈キャット・ウォーク〉は、ボンボンというベースに、マルのシングル・トーンによるメロディが印象的だが、ジュリアン・ユーエルのウォーキング・ベースの活躍などもあってなかなかの好演です。 ホリデイが生前、愛唱していた〈ユー・ドント・ノウ・ワット・ラブ・イズ〉は、歌詞に刻まれた言葉を一つ一つ噛みしめるかのようなピアノの響きに、深い味わいを感じます。4曲目マルの〈マイナー・パルゼイション〉では、一変してアップ・テンポに、今まで抑制していたエネルギーを爆発させたような、マルの本来のスタイルを聴くことができる。ソニー・ロリンズのオリジナル〈エアジン>は、ピアノ・ソロから始まる軽快なリズム・ナンバー。マルは繰り返しのフレーズを多用しての演奏です。 |
サムシン・エルス ‐ キャノンボール・アダレイ | |
![]() サムシン・エルス 商品詳細を見る Autumn Leaves youtube.com/watch?v... |
Recorded. March 9, 1958. BlueNote. CANNONBALL ADDERLEY alto sax MILES DAVIS trumpet HANK JONES piano SAM JONES bass ART BLAKEY drums 1. Autumn Leaves 10:59 2. Love For Sale 7:04 3. Somethin' Else 8:13 4. One For Daddy-O 8:24 5. Dancing In The Dark 4:05 6. Bangoon 5:05 |
モダン・ジャズ史上でも屈指の名盤であるこの作品は、マイルス・デイヴィスがCBSとの契約があったため、キャノンボール・アダレイがリーダーとして選ばれた。この後、キャノンボールは1959年秋までマイルス・コンボのレギュラー・メンバーとなり、「マイルストーンズ」「カインド・オブ・ブルー」といったモードの重要な作品に名を連ねていく。本作品のクインテットは、すぐれたレギュラー・グループのような見事な協調、リラックスしたムードのなかでスリルあふれるプレイを展開している。 冒頭の名曲<枯葉>は、ピアノとベース中心の印象的なイントロから始まり、ゆったりしたテンポで、マイルスのミュート・トランペットの哀愁を帯びたテーマとアドリブの素晴らしさに加え、キャノンボールもマイルスのグループでは見せなかったチャーリー・パーカー風のスリリングなソロを披露している。ハンク・ジョーンズのソロも見逃せない好演です。 タイトル曲〈サムシン・エルス〉は、マイルスのオリジナルで、ミディアム・テンポのブルース。マイルスのトランペットはオープンで、肩の力を抜いた、それでいて力強さを感じさせるマイルスのよく歌うプレイが堪能できる。キャノンボールも負けじと伸びやかなアドリブ・プレイを聴かせる。 4曲目の〈ワン・フォー・ダディ・オー〉は、ナット・アダレイ作曲の、ミディアム・スローのブルース。キャノンボールは自由自在な素晴らしいソロを聴かせています。それを受けてマイルスのソロもよく歌い、格好良いブルースをキメています。再び登場のキャノンボール、泣きのブルース・ソロを披露。 |
チャールズ・ミンガス・プレゼンツ・チャールズ・ミンガス | |
![]() チャールズ・ミンガス・プレゼンツ・ チャールズ・ミンガス 商品詳細を見る Folk Forms, No.1 youtube.com/watch?v... |
Recorded. October 20, 1960. Candid. CHARLES MINGUS bass TED CURSON trumpet ERIC DOLPHY alto sax and bass clarinet DANNIE RICHMOND drums 1. Folk Forms, No.1 12:57 2. Original Faubus Fables 9:14 3. What Love 15:28 4. All The Things You Could Be By 8:34 Now If Sigmund Freud's Wife Was Your Mother |
メンバーにチャールズ・ミンガスの最良の伴侶エリック・ドルフィーをえて、最高度に緻密かつ強烈なミンガス・ミュージックの完全燃焼を記録したミンガスの最高傑作。黒人差別に対して大胆な告発をした作品であり、ミンガスは音楽活動を通し、終生人種差別や人種保護を訴え続けた闘士。1960年代初頭の黒人の心情を強く感じさせ、ジャズが社会と深い関わりをもつ音楽であることを明確に主張した作品である。 この作品を制作したレーベルのキャンディドは、こうした動きに賛同する作品をいくつも発表している。ミュージシャンに完全に自由を与えたため、商業レーベルとは一線を画すユニークな作品が多い。又、この作品は、マイナー・レーベル、キャンディドへの吹込みということで幻の名盤ブームの火付け役となった作品でもある。 最初の〈フォーク・フォームズNo.1〉は、ミンガスの重苦しいベースから始まり、ドルフィーのアルト、テッド・カーソンのミュート・トランペットが入り、しだいにリズムに動きが出てくるテーマ。カーソンのオープンでのソロにドルフィーのアルトが絡み、やがて豊かな低音が魅力のベース・ソロと続き、そして2管が入ってきて集団即興演奏が展開されていき、ドルフィー、カーソンの火の噴くようなプレイは聴くものを圧倒する。ベース、ドラムを含めたサウンドは実に凄まじい。 2曲目の〈フォーバス知事の寓話〉は、人種融和政策に反対したフォーバス知事を糾弾るために書かれたもので、歌詞がすべて入ったオリジナル・バージョンです。ミンガスと、ダニー・リッチモンドの歌から始まり、4人入り乱れての即興演奏となる。カーソンの哀愁を漂わせたソロ、ミンガスのしっとりしたベース・ソロなどが続き、歌のテーマに戻っていく。続く〈ホワット・ラブ〉は、テーマの後、カーソンのまろやかなトランペット、ドルフィーのバスクラ、美しい響きに時には激しい演奏。やがてベースとバスクラの語り合いの絡みがしばらく続き、テーマへ戻る。 |