黄金期のクインテット   





ザ・スタイリングス・オブ・シルバー ‐ ホレス・シルバー
 

ザ・スタイリングス・オブ・シルバー
商品詳細を見る


No Smokin'
youtube.com/watch?v...


Soulville
youtube.com/watch?v...
Recorded. May 8, 1957. BlueNote.
HORACE SILVER piano
ART FARMER trumpet
HANK MOBLEY tenor sax
TEDDY KOTICK bass
LOUIS HAYES drums
1. No Smokin'   5:29
2. The Back Beat   6:20
3. Soulville   6:12
4. Home Cookin'   6:27
5. Metamorphosis   7:14
6. My One And Only Love   6:57 
ファンキー・ジャズの第一人者であるホレス・シルバーは、1950年代半ばから60年代にかけて、自己のクインテットを中心に活動し、ファンキー・ブームの先頭を走った。又作曲家としても才能を遺憾なく発揮した。

この時代の作品は、ファンキー色を前面に出し、シルバーの特徴がよく出たものがほとんどですが、この作品においては、フロントにアート・ファーマー、ハンク・モブレーを起用し、他の作品とはちょっと異なるハード・バップ色を強く押し出した作風が特徴となり、非常に聴き応えのある作品に仕上がっています。なお、全6曲のうち5曲がシルバーのオリジナルの構成となっています。

1曲目の〈ノー・スモーキン〉、ハード・バップ風のアップ・テンポで突き進むこの曲は、まさにアルバムの幕開けに相応しい。。2曲目ミディアム・テンポの〈ザ・バック・ビート〉などはシルバーのファンキ・ジャズの典型的なサウンドです。3曲目の〈ソウルビル〉ではテーマは2ビート、一度聴いたら忘れないぐらい特徴のあるファンキー。

4曲目の〈ホーム・クッキン〉は、シルバーのファンキー節が鳴り響く、これぞシルバー・クインテットって感じのノリのいい曲です。5曲目〈メタモーフォシス〉は、かなり凝った曲構成になっており、聴き所です。最後のミディアム・テンポで演奏されるスタンダード・バラード〈マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ〉は、慈愛に満ち溢れたやさしい響きの演奏です。 


 


スタディ・イン・ブラウン ‐ クリフォード・ブラウン 
 
 
スタディ・イン・ブラウン
商品詳細を見る



Cherokee
youtube.com/watch?v...
Recorded. February 23 and 24 and 25, 1955. EmArcy.
CLIFFORD BROWN trumpet
HAROLD LAND tenor sax
RICHIE POWELL piano
GEORGE MORROW bass
MAX ROACH drums
1. Cherokee   5:44
2. Jacqui   5:11
3. Swingin'   2:52
4. Lands End   4:57
5. George's Dilemma   5:36
6. Sandu   4:57
7. Gerkin For Perkin   2:56
8. If I Love Again   3:24
9. Take The A Train   4:15
クリフォード・ブラウンは、1954年3月にドラマーのマックス・ローチとブラウン=ローチ・クインテットを結成し、ハリウッドのクラブ ティファニーで旗揚げ公演をおこなう。同年8月には「クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ」などの作品が録音され、それから半年後に同じメンバーでこの作品が録音される。

無類の歌心を持ったトランペッターのブラウンと音楽性豊かなドラマーのローチとの組合わせは、相性も抜群、ハード・バップの魅力を存分に聴かせてくれる。この作品は、ブラウンが作曲したばかりの新曲4曲をはじめリッチー・パウエル、ハロルド・ランドのオリジナルなど新曲を中心に吹込んでいる。

冒頭の〈チェロキー〉は、インディアンの太鼓を模したローチのドラミングの描写。ここでのブラウンは、超高速テンポの曲でも正確に且つ軽やかに吹きこなす神技を披露。この曲の名演となっている。5曲目ブラウン作曲の〈ジョージズ・ジレンマ〉は、妖しい雰囲気を醸し出すラテン・タッチの曲。ローチのドラミングが素晴らしく、うまく曲の雰囲気を作っている。ブラウンも滑らかで暖か味のある演奏を聴かせている。

6曲目もブラウン作曲〈サンデュ〉は、ミディアム・テンポのブルース。ブラウンのソロは抑え気味なプレイ、ランドの情感豊かな艶っぽいテナー、ローチの熱いプレイを聴かせる。9曲目ビリー・ストレイホーン作曲〈A列車で行こう〉は、ローチのドラムを中心に列車が出発する様子を巧みに音で表現されるなどアレンジ面での工夫が凝らされている。ブラウンのソロは急速調でプレイするも明るくさわやかな演奏。





グルービン・ウイズ・ゴルソン ‐ ベニー・ゴルソン  
 

グルービン・ウイズ・ゴルソン
商品詳細を見る



My Blues House
youtube.com/watch?v...
Recorded. August 28, 1959. NewJazz .
BENNY GOLSON tenor sax
CURTIS FULLER trombone
RAY BRYANT piano
PAUL CHAMBERS bass
ART BLAKEY drums
1. My Blues House   9:25
2. Drumboogie   3:59
3. I Didn't Know What Time It Was   5:25
4. The Stroller   9:18
5. Yesterdays   5:54 
この作品は、ベニー・ゴルソンが1959年の春にジャズ・メッセンジャーズを退団した約半年後に吹込まれたもの。この時期のゴルソンは、のちのジャズテットの構想があり、トローンボーンのカーティス・フラーを迎え、ゴルソンならではの独特のハーモニーを聴かせていて、最もファンキーで個性的なサウンドが味わえる。又<ブルース・マーチ><ウィスパー・ノット>など、たくさんの名曲を残しているゴルソンではあるが、ここではオリジナルに固執することなく、スタンダードからも題材を選び、奥行きのある作品に仕上げている。

本作品は、ゴルソンが2曲、スウィング期の名ドラマー、ジーン・クルーパの〈ドラムブギ〉、残り2曲はスタンダード・ナンバー。ゴルソンのオリジナル〈マイ・ブルース・ハウス〉は、ゴルソンのアレンジによるアンサンブルが堪能でき、テーマの後、丁度いいミドル・テンポでフラーが当時の好調さを物語るように素晴らしい。ゴルソンもふくよかで、暖かみのあるソロを展開、レイ・ブライアントも得意のブルースを披露。〈ドラムブギ〉では、ゴルソン・ハーモニーに仕上がっています。他人の曲も編曲で自分の色に染めてしまうゴルソンです。

ゴルソン・オリジナル〈ザ・ストローラー〉は、白熱した熱い演奏で、どんどんヒートアップしてテンポも速くなっていきます。アート・ブレイキーが燃え、そしてゴルソン、フラーも燃えたぎるようなソロを展開して行く。〈イエスタデイズ〉のスタンダードも、見事なまでのゴルソン・ハーモニーを展開。ゴルソンの熱いソロ、フラーも温かみのあるサウンドを披露しています。 


 


マル−1 ‐ マル・ウォルドロン  
 

マル−1
商品詳細を見る



Yesterdays
youtube.com/watch?v...
Recorded. November 9, 1956. Prestige.
MAL WALDRON piano
IDREES SULIEMAN trumpet
GIGI GRYCE alto sax
JULIAN EUELL bass
ARTHUR EDGEHILL drums
1. Stablemates   4:51
2. Yesterdays   7:47
3. Transfiguration   7:17
4. Bud Study   5:48
5. Dee's Dilemma   6:58
6. Shome   5:07 
 
マル・ウォルドロンの初リーダー作であり、初期を代表する作品。彼は、プレスティッジに4枚の連作シリーズを残しているが、これはその第1作で、作・編曲家としての、彼の特異で優れた能力が冴える。

フロントにトランペットとアルトを加えた典型的なハード・バップ編成だが、中身はいわゆるハード・バップとは一線を画する作りとなっている。各曲にビッグバンド並みの緻密なアレンジがほどこされており、ハード・バップ時代における完成度の高い作品である。

1曲目の〈ステイブルメイツ〉は、ベニー・ゴルソンのオリジナル。ミドル・テンポで、アルト、トランペットとソロが続き、マルは柔らかくプレイ。知的なセンス溢れる演奏。続く最大の聴きもの〈イエスタデイズ〉は、マルの意表をついた編曲の冴えは抜群で、発表時から話題を集めた。知性派で有名なジジ・グライスのアルト・ソロも好演を聴かせており、この有名曲の名演の一つとして数えられる。

3曲目〈トランスフィギュレーション〉は、ハード・バップの演奏。終始リズムがよく、各ソロ・パートも伸びやかにプレイを展開する。感じのいい曲。5曲目の〈ディーズ・ジレンマ〉は、特徴的なテーマで始まり、各ソロ・パートでは時おりテンポが変わる演奏。





リラクシン ‐ マイルス・デイビス  
 

リラクシン
商品詳細を見る



If I Were A Bell
youtube.com/watch?v...
Recorded. May 11, October 26, 1956. Prestige.
MILES DAVIS trumpet
JOHN COLTRANE tenor sax
RED GARLAND piano
PAUL CHAMBERS bass
PHILLY JOE JONES drums
1. If I Were A Bell   8:15
2. You're My Everything   5:18
3. I Could Write A Book   5:10
4. Oleo   5:52
5. It Could Happen To You   6:37
6. Woody'n You   5:01 
1955年、ひそかにコロムビアと契約を交わしたマイルス・デイヴィスは、それまで専属だったプレスティッジとの契約を完了させるため、56年5月と10月の2日間で、アルバム4枚分、合計25曲をレコーディング、これが有名なマラソン・セッションの4部作である。マイルス、コルトレーン、ガーランドたちの黄金クインテットによる4部作は、いずれもジャズ史に残る名盤として高く評価されている。

この作品は4部作の2作目で、スタンダード中心の編成となっている。タイトル通りリラックスした雰囲気の中でマイルスの小粋なセンスに溢れた絶妙なミュート・プレイが堪能できる名作。なお、<ウディン・ユー>以外はすべてミュート・トランペットによる演奏です。

冒頭の〈イフ・アイ・ワー・ア・ベル〉は、軽やかな鐘の音のようなレッド・ガーランドのピアノで始まり、マイルスの熟成されたミュート・ソロ、コルトレーンの伸び伸びとしたソロを聴かせる。続く〈ユー・アー・マイ・エブリシング〉は、スロー・テンポのバラード。ガーランドのイントロを受けて、マイルスが華麗なミュートでバラードを唄う。コルトレーンのソロになるとリズムに動きが出てくる。コルトレーンはテクニックに走ることなく、ストレートな演奏。

ソニー・ロリンズ作の〈オレオ〉では、ベースのみをバックにした部分を巧みに挿入するなどまったく異なった編曲を施した。ロリンズも参加していた「バグス・グルーブ」よりハードな仕上がりとなっている。ディジー・ガレスピー作の〈ウディン・ユー〉は、ハード・バップ・スタイルでの演奏。マイルスのトランペットはオープンで、情熱的に吹きまくる。コルトレーンのソロでは、ガーランドのピアノが良い味付けを加えている。

 
 JAZZセレクトへ戻る