アルト奏者、魅力の一枚  





4,5&6 ‐ ジャッキー・マクリーン  
 

4,5&6
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Sentimental Journey
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Recorded. July 13 and 20, 1956. Prestige.
JACKIE McLEAN alto sax
DONALD BYRD trumpet (on 3,4,6)
HANK MOBLEY tenor sax (only 4)
MAL WALDRON piano
DOUG WATKINS bass
ARTHUR TAYLOR drums
1. Sentimental Journey   9:57
2. Why Was I Born?   5:13
3. Contour   4:58
4. Confirmation   11:25
5. When I Fall In Love   5:32
6. Abstraction   8:00 
1951年にマイルス・デイヴィスの作品「ディグ」で初レコーディングし、以来、モダン・ジャズのメイン・ストリートをまっしぐらに突き進んできたジャッキー・マクリーンの初リーダー作は、55年ネコのジャケットでお馴染みのジュビリー盤。本作品は、リーダー3作目で、タイトルにあるようにワン・ホーンのカルテットからセクステットまで、さまざまな局面での演奏が楽しめるマクリーンの初期の代表作。

冒頭の〈センチメンタル・ジャーニー〉は、極め付きの古典で、ゆったりした語りの中に独特の味わいが漂う。マクリーンのアルトに始まり、タグ・ワトキンスのベース、マル・ウォルドロンのピアノに至るまで、3人のソロが見事にスイングして、持ち味を充分に発揮した演奏。マクリーン初期の名演として名高いテイク。続く〈なぜこの世に生きるのだろう〉、普段はバラードで演奏されるのですが、ここではアップ・テンポ。マクリーンのソロはスインギーで、この頃のはつらつとした勢いのある演奏。

3曲目ケニー・ドリュー作〈コントゥアー〉では、ドナルド・バードが入り、息もピッタリで、各人がミディアム・テンポで、ハード・バップな演奏を心地良く展開されます。続く有名なチャーリー・パーカーの〈コンファメーション〉は、楽しげなブローイング・セッション風。小気味よいリズム感と、情感溢れる音出しで、聴く者を魅了する。この曲のみ参加のハンク・モブレーも快調なプレイ。最後のマツ・ウォルドロン作〈アブストラクション〉は、バードが加わって絶品のバラード演奏で締めくくっている。





 インテンシティ ‐ アート・ペッパー
 
 
インテンシティ
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Gone With The Wind
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Recorded. November 23 and 25, 1960. Contemporary.
ART PEPPER alto sax
DOLO COKER piano
JIMMY BOND bass
FRANK BUTLER drums
1. I Can't Believe That You're In Love With Me   4:25
2. I Love You   5:25
3. Come Rain Or Come Shine   4:45
4. Long Ago (And Far Away)   4:21
5. Gone With The Wind   5:50
6. I Wished On The Moon   4:56
7. Too Close For Comfort   6:44
8. Five Points   11:33 
アート・ペッパーは、1950年代半ば頃から絶頂期を迎え、「モダン・アート」や「ミーツ・ザ・リズム・セクション」などの傑作を生み出す。こうして60年までウエスト・コースト周辺で活躍してきましたが、ペッパーは本作品を最後に、またもや麻薬のため長い引退生活を余儀なくされる。この作品からはそんな状況は微塵も感じさせず、充実期に差し掛かっていただけに、安定した熱いプレイを聴かせている。

1曲目の<恋のため息>は、ミディアム・テンポで、ベース、ドラムにペッパーのトリオで始まり、途中からピアノが入り、ペッパーの自由自在なアドリブが思う存分に展開されている。続く2曲目<アイ・ラヴ・ユー>は、コール・ポーター作曲。小気味良いアップ・テンポで、ペッパーは躍動的なプレイを繰り広げている。ドラムスのフランク・バトラー、エネルギッシュなプレイが光る。

3曲目の<降っても晴れても>は、スロー・テンポのバラード。ペッパーのゆったりとした柔らかい音色で、肩の力の抜けた気持ちのいいプレイが快適である。。ピアノのドロ・コーカーも美しく鳴り響かせている。5曲目<風と共に去りぬ>は、ミディアム・テンポで魅力的なテーマが流れ、ここでは音色、節回しなどのペッパーの良さが出ており、生き生きとした素晴らしい演奏です。

7曲目の<トゥー・クロース・フォー・コンフォート>は、ミディアム・テンポで、ペッパーの豊富な音の表現と、はつらつとしたプレイで、心地良い演奏が聴かれる。8曲目<ファイヴ・ポインツ>は、この作品唯一ペッパーのオリジナル。リズミカルなきびきびとしたリズム隊とペッパーが息もあって、力強くアドリブを鳴り響かせる。10分超えの長尺曲ですが、長く感じさせないいい演奏です。


 


 ヴェリー・クール ‐ リー・コニッツ
 
 
ヴェリー・クール
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Sunflower
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Recorded. May 12, 1957. Verve.
LEE KONITZ alto sax
DON FERRARA trumpet
SAL MOSCA piano
PETER IND bass
SHADOW WILSON drums
1. Sunflower   8:06
2. Stairway To The Stars   5:18
3. Movin' Around   7:45
4. Kary's Trance   7:08
5. Crazy She Calls Me   7:20
6. Billie's Bounce   6:07 
リー・コニッツは、1940年代後半からピアニストのレニー・トリスターノのもとで自分のスタイルを確立し、クール・ジャズを代表するばかりでなく、チャーリー・パーカー、アート・ペッパーと並びモダン・ジャズの三大アルト奏者のひとりに数えられる。のちに独自の方向性を打ち出し、常に自己の芸術表現を追求し続けている。

この作品の共演者は、まさにクールを代表する面々で、各自がそれぞれのクールを程よく演出。どのソロも聴きやすく、ハード・バップ的な雰囲気がある。バラード2曲入りの全6曲は、バップをさらに発展・改良させた演奏集ともいえる一枚。。

1曲目〈サンフラワー〉は、トランペットのドン・フェララの作曲。ミディアム・テンポで、コニッツは柔らかく、クールというより暖かさを感じるソロをプレイ、フェララも味わい深いソロを聴かせます。終りの方でアルト、トランペットの絡みあたりの演奏もいい。3曲目もフェララ作曲の〈ムーヴィン・アラウンド〉、アップ・テンポで、コニッツのドライブ感溢れるプレイ、フェララのハード・バップなプレイで、リズム陣も熱く熱くなっていく演奏。

4曲目の〈ケアリーズ・トランス〉は、コニッツの代表的な曲。コニッツのアルトはこれまでとは違う情熱的な響きで、音色も太く鳴り響くプレイ。軽快なリズムにフェララは躍動感溢れるプレイ。ドラムのシャドウ・ウィルソン、シャープで厚いシンバルワークが光る。5曲目の〈クレイジー・シー・コールズ・ミー〉は、スタンダードのバラードで、コニッツの素晴らしい歌心が堪能出来るワン・ホーン演奏です。又サル・モスカのピアノも聴きどころ。





 ペン・オブ・クインシー ‐ ソニー・スティット
 
 
ペン・オブ・クインシー
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My Funny Valentine
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Stardust
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Recorded. September 30, October 17, 1955. Roost.
SONNY STITT alto sax        CECIL PAYNE baritone sax
ERNIE ROYAL trumpet        JIMMY CLEVELAND trombone
JIMMY NOTTINGHAM trumpet     J.J. JOHNSON trombone
JOE NEWMAN trumpet        FREDDIE GREEN guitar
THAD JONES trumpet          HANK JONES piano
SELDON POWELL tenor sax      OSCAR PETTIFORD bass
ANTHONY ORTEGA flute and alto sax  JO JONES drums
1. My Funny Valentine   3:26
2. Sonny's Bunny   3:55
3. Come Rain Or Come Shine   4:18
4. Love Walked In   3:58
5. If You Could See Me Now   4:27
6. Quince   7:00
7. Stardust   3:05
8. Lover   3:21
ソニー・スティットの膨大な数のアルバムは多くのレーベルに及んでいる。それらは様々なフォーマットによって吹込まれ、いわゆるワン・ホーンのものから、スティットが得意としたサックス・バトルものはもちろんのこと、オーケストラやストリングスとの共演までまさに多彩。そんな中この作品は、スティットが最も脂に乗っていた頃の作品である

本作品は、当時売出し中だったクインシー・ジョーンズが、編曲・指揮を手がけたオーケストラによるスタンダードを中心に、スティットはハンク・ジョーンズ、オスカー・ペティフォード、J.J.ジョンソンといった名手たちをバックに、のびのびと歌心豊かなソロを聴かせる。スティットに最高の背景を与えたコラボレーションの素晴らしさ。名手の出会いによって類い稀な名演が引き出された傑作。 

名曲〈マイ・ファニー・バレンタイン〉、スティットは原メロディーの美しさを大切にしながらも、バラードのアドリブはかくあるべきと言った表現。力強く、ぐいぐいとスイングする魅力的な演奏。3曲目ハロルド・アーレン作曲〈降っても晴れても〉、優雅なバラード調ですが、スティットは、時には速いフレーズを交えながら緩急自在に、かつ情感たっぷりに歌い上げています。

本作唯一クインシー・オリジナル〈クインス〉は、重厚なベース・ソロで始まり、魅力的なベイシー風アンサンブルが奏され、サド・ジョーンズ、スティットと、アドリブの続くこのブルース・ナンバーでは、スティットのゆったりとしたブロウが満喫できる。リズム隊のみを従えた超有名な〈スターダスト〉は、伸び伸びと語りかけるようなプレイは申し分ない。

 
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