テナーのワン・ホーン傑作   





ソウル・ステーション ‐ ハンク・モブレー   
 

ソウル・ステーション
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Remember
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If I Should Lose You
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Recorded. February 7, 1960. BlueNote.
HANK MOBLEY tenor sax
WYNTON KELLY piano
PAUL CHAMBERS bass
ART BLAKEY drums
1. Remember   5:39
2. This I Dig Of You   6:23
3. Dig Dis   6:07
4. Split Feelin's   4:54
5. Soul Statoin   9:05
6. If I Should Lose You   5:08 
ハンク・モブレーは、1950年代後半のジャズシーンを代表する黒人テナーの名手である。55年にアート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズの初代テナーとなり、そ後はホレス・シルバー・クインテットに加わるなど、モブレーは常にハード・バップの第一線グループにあって華々しい活躍を続けてきたのである。

この作品は、ワン・ホーンということもあって、モブレーを聴くには絶好のフォーマットになっている。またモブレーの音色やフレージングを心ゆくまでリラックスして堪能できるのはワン・ホーンによるカルテットが一番であり、その代表が最高傑作と折り紙をつけられてきたこの作品である。演奏の方は、スタンダードが2曲とモブレーのオリジナルが4曲という構成になっています。

1曲目の<リメンバー>は、モブレーの魅力が一番発揮されるミディアム・テンポの曲で、スタンダードでありながら見事にモダン・ジャズに料理されていて、暖かくてほのぼのとした雰囲気がなんともいえない。続く〈ディス・アイ・ディグ・オブ・ユー〉は、モブレーのオリジナル。ウィントン・ケリーの巧みな演奏、モブレーも高度なアドリブを繰り広げ、最後はブレイキーの熱っぽいソロへ展開していく。

タイトル曲の〈ソウル・ステーション〉は、ミディアム・スローのファンキー・ナンバー。自作でかつ得意なファンキーということで、モブレーはくつろいだソロを展開していきます。ケリーはテンポ遅いながらも力強くプレイしていく。スタンダード〈イフ・アイ・シュド・ルーズ・ユー〉は、淡々と展開される哀愁漂う枯れたアドリブが素晴らしい。 


 


イントロデューシング・ジョニー・グリフィン  
 

イントロデューシング・ジョニー・グリフィン
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Chicago Calling
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Recorded. April 17, 1956. BlueNote.
JOHNNY GRIFFIN tenor sax
WYNTON KELLY piano
CURLY RUSSELL bass
MAX ROACH drums
1. Mil Dew   3:54
2. Chicago Calling   5:37
3. These Foolish Things   5:09
4. The Boy Next Door   4:54
5. Nice And Easy   4:21
6. It's All Right With Me   5:01
7. Lover Man   7:54 
ジョニー・グリフィンの初期の代表作。グリフィンのテナーは、何よりも人間的なユーモアにあふれており、そのトーンは、伝統的なテナーの魅力を受けついだ部厚く、そしてあたたかみのあるものである。

この作品は、名演<ミル・デュー>で幕を開けるグリフィンのブルーノート・デビュー・アルバム。スロー・テンポのバラードから、ミドル・テンポ、そして驚異的急速調という幅広い曲が並び、切れ味のいいフレイジングが爽快に鳴り響く。又全般的にリズムが良く、グリフィンの魅力あるハード・バップが堪能できる。

1曲目のグリフィンのオリジナル〈ミル・デュー〉は、超絶テンポで、スピード感とノリの良さ、豪快なアドリブを展開していくグリフィンの迫力ある演奏。続く〈シカゴ・コーリング〉もグリフィンのオリジナル。リラックス・ムードを漂わせる中、グリフィンは力強さの中にユーモアを感じさせる演奏。軽快なミドル・テンポに、ウィントン・ケリーはリズミックなプレイを展開してゆく素晴らしい演奏です。ミドル・テンポで演奏される〈ザ・ボーイ・ネクスト・ドア〉は、野太くブルージーなサウンドが味わえる。

有名なスタンダード、〈イッツ・オールライト・ウィズ・ミー〉は、超アップ・テンポで、グリフィンの勢いは演奏が進めば進むほどパワーアップしてゆき、マックス・ローチもスピード感溢れるドラミング・プレイを展開していく演奏。続くバラード〈ラバー・マン〉は、しっとりした雰囲気の中、グリフィンはサックスを存分に鳴らしきり、小気味良いフレーズが次々と飛び出していきます。





ワーク・タイム ‐ ソニー・ロリンズ 
 
 
ワーク・タイム
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There's No Business Like Show Business
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Recorded. December 2. 1955. Prestige.
SONNY ROLLINS tenor sax
RAY BRYANT piano
GEORGE MORROW bass
MAX ROACH drums
1. There's No Business Like Show Business   6:18
2. Paradox   4:55
3. Raincheck   5:58
4. There Are Such Things   9:27
5. It's All Right With Me   6:09 
「サキソフォン・コロッサス」で頂点に昇りつめる直前に録音されたソニー・ロリンズ初期の傑作。リズムに乗って放たれる豪放なブロウがハード・バップの魅力を発散する。

ロリンズは1954年暮れから1年間、ジャズ・シーンから姿を消していたが、55年11月にクリフォード・ブラウン〜マックス・ローチ・クインテットに引っ張り出され活動を再開した。この翌月、12月に本作が録音されたのである。ブラウン〜ローチ・クインテットのメンバーであるローチおよびジョージ・モロウとの息もぴったり、安心できるリズム陣をバックにした時の悠然とした姿が溢れている。

冒頭の〈ショーほど素敵な商売はない〉は、1946年有名なミュージカル"アニーよ銃をとれ"の中の曲。バリバリ速吹きで飛ばしていっても歌心を忘れず、豪快にブロウするロリンズの快調なプレイ。レイ・ブライアントのピアノもなかなか切れ味鋭い演奏。続く〈パラドックス〉は、リズムが軽快なロリンズのオリジナル。ロリンズは真骨頂のアドリブ満載。ブライアントはシングル・トーンでロマンティックに仕上げてくれてます。後半、ローチの怒濤のドラミング、そしてロリンズとの掛け合いも見事。

4曲目〈ゼア・アー・サッチ・シングス〉は、ロリンズの歌心たっぷりのバラード・プレイが堪能できる。ブライアントのしっとりとしたピアノも雰囲気があります。5曲目コール・ポーターの〈イッツ・オールライト・ウィズ・ミー〉は、名演として名高いです。ロリンズは快速テンポの中、自由自在に吹きまくっています。ジャズのアドリブの面白さを堪能させてくれる。


 


ダウンホーム ‐ ズート・シムズ 
 
 
ダウンホーム
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Jive at Five
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I Cried for You
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Recorded. July, 1960. Bethlehem.
ZOOT SIMS tenor sax
DAVE McKENNA piano
GEORGE TUCKER bass
DANNIE RICHMOND drums
1. Jive at Five   5:16
2. Doggin' Around   4:36
3. Avalon   4:25
4. I Cried for You   6:48
5. Bill Bailey   5:14
6. Goodnight, Sweetheart   4:19
7. There'll Be Some Changes Made   5:19
8. I've Heard That Blues Before   5:24
9. There'll Be Some Changes Made (Alternate Take)   6:43
10. Jive at Five (Alternate Take)   6:13
11. Doggin' Around (Alternate Take)   3:34
12. Avalon (Alternate Take)   4:07
13. Goodnight, Sweetheart (Alternate Take)   5:08
14. Bill Bailey (Alternate Take)   5:02
ズート・シムズは、1950年代半ばヨーロッパにわたり、バリトン奏者、ジェリー・マリガン・バンドのツアーに参加、又テナー奏者アル・コーンと組んで、50年代から長期にわたりクインテットで活躍。その間、ズートは数々の重要なリーダー作品を録音する。その一つである本作品は、スイング時代以前の古いナンバーを中心に、バラードのような曲はなく、テンポのいい曲ばかり集めたワン・ホーン・カルテットの魅力が詰まった一枚。

1曲目〈ジャイヴ・アット・ファイヴ〉は、カウント・ベーシー楽団のナンバー。ズートのテナーはのっけから素晴らしい流動感溢れるプレイ、ピアノのデイヴ・マッケンナも快調なリズム感が心地良い。3曲目の〈アヴァロン〉は、アル・ジョルソンのスタンダード・ナンバー。速いテンポで、ズートのテナーは適度な太さで鳴り、軽快なスイング感が味わえる。マッケンナのピアノも縦横に転がりまわるようなプレイを繰り広げ、ジョージ・タッカーのウォーキング・ベースと続きます。

4曲目〈アイ・クライド・フォー・ユー〉は、ビリー・ホリデイも唄っていた古いポピュラー・ソング。ミディアムよりやや速めのテンポはズートに最も適しているようでもあり、ここでのソロは持ち前の躍動感に満ち溢れ、彼の優れた個性が堪能できる。マッケンナのピアノもなかなかノリのいいタッチを見せている。

7曲目の〈ゼアル・ビー・サム・チェインジズ・メイド〉は、ズートのソロはやや曇ったような甘いトーンで、淀みなく流れる歌心。バックのピアノ・トリオが小気味良いリズムで、しっかりとズートをサポート。8曲目〈アイヴ・ハード・ザット・ブルース・ビフォア〉は、アルバム唯一ズートのオリジナル。ズートはリラックスしながらも、堂々としたプレイ。マッケンナのソロはドライブ感があり、途中マル・ウォルドロン風のアドリブが鳴り響く。





 アワ・マン・イン・パリ ‐ デクスター・ゴードン
 
 
アワ・マン・イン・パリ
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Scrapple From The Apple
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Recorded. May 23, 1963. BlueNote.
DEXTER GORDON tenor sax
BUD POWELL piano
PIERRE MICHELOT bass
KENNY CLARKE drums
1. Scrapple From The Apple   7:22
2. Willow Weep For Me   8:47
3. Broadway   6:44
4. Stairway To The Stars   6:57
5. A Night In Tunisia   8:15
6. Our Love Is Here To Stay   5:39
7. Like Someone In Love   6:17 
1950年代の多くを麻薬療養に費やしたデクスター・ゴードンは、広く活動の場を求めて62年にフランスへ渡った。以後彼は76年に帰米を果たすまで、ヨーロッパを活動の本拠地とする。当時のフランスには自由な雰囲気と演奏の場を求めて多くのジャズメンがアメリカから移住していた。

ゴードンはそうした移住組のミュージシャンと活動に乗り出す。その成果を彼はブルーノートへの録音で披露。そして共演は、すでにパリに居を構えていたバド・パウエル、ケニー・クラークと、地元のピエール・ミシェロ。自由な空気の中で、ゴードンは久々に再会した旧友と共に爽快で力強い演奏を繰り広げる。

1曲目〈スクラップル・フロム・ジ・アップル〉は、チャーリー・パーカーの作曲。ゴードンの豪快なトーンはいつにも増して強力で、グイグイと引き込まれてしまう強烈な存在感。競馬のファンファーレのフレーズなどを取り入れ、彼独特の大きなノリとともに次々とアドリブが繰り出される。バップ時代より一段とスリルを増し、ニュー・ゴードンの鮮やかな姿を伝える。2曲目〈ウィロー・ウィープ・フォー・ミー〉は、ジョージ・ガーシュインに捧げた曲で、32年にアン・ロネルによって作られた名曲。オリジナル・メロディーに忠実な演奏ながら、そこに表われているのはアイデアに満ちたゴードンそのもの。

3曲目の〈ブロードウェイ〉は、ゴードンの歌心溢れる本物の即興フレーズ、クラークの気合と相俟ってスリルの連続。録音当時の前衛ジャズ風のところもあり、スケールの大きいソロが楽しめる。4曲目の〈星へのきざはし〉は、39年にヒットしたスタンダードで、ゴードンが野太い音で聴かせるバラード。5曲目ディジー・ガレスピー作曲の〈チュニジアの夜〉は、ゴードンの豪快で力強い演奏が冴えわたる。パウエルの華麗なタッチ、クラークの躍動感溢れるソロが展開されます。なお、7曲目〈ライク・サムワン・イン・ラブ〉は、ゴードン抜きのバド・パウエル・トリオの演奏です。

 
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