50年代言わずと知れた名作   





アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション+1  
 

アート・ペッパー・ミーツ・
ザ・リズム・セクション+1
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You'd Be So Nice To Come Home To
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Recorded. January 19, 1957. Contemporary.
ART PEPPER alto sax
RED GARLAND piano
PAUL CHAMBERS bass
PHILLY JOE JONES drums
1. You'd Be So Nice To Come Home To   5:25
2. Red Pepper Blues   3:36
3. Imagination   5:39
4. Waltz Me Blues   2:55
5. Straight Life   3:58
6. Jazz Me Blues   4:32
7. Tin Tin Deo   7:42
8. Star Eyes   5:12
9. Birks Works   4:15 
10. The Man I Love   6:31 
白人アルト・サックス奏者の最高峰アート・ペッパーは、もっぱら西海岸で演奏した最もウエスト・コースターらしいプレイヤーである。そのペッパーの絶頂期の頃、1957年に録音されたこの作品は、マイルス・デイヴィス・クインテットが、ウエスト・コーストに楽旅した際に行われたもので、ペッパーが共演したのは、そのクインテットのリズム・セクションで、そこからアルバム・タイトルも付けられているが、セッションは呼吸も感覚もぴったりで、パワフルで素晴らしい演奏を聴かせている。

1曲目の〈ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ〉は、コール・ポーターの作詞・作曲で、ヘレン・メリルの愛唱歌として超有名なスタンダード。この曲の名演といわれるこのアルバムでのこの曲は、軽快なリズムのイントロのあと、ペッパーがテーマを軽やかに吹き、レッド・ガーランドの粋なピアノ、フィリー・ジョー・ジョーンズのブラシを使ったドラム、ポール・チェンバースがそれらをサポートする。ソロに入ると、フィリー・ジョーはスティックに持ち替え、ペッパーのプレイは多少緊張感を漂わせながら伸びやかなアルトのアドリブが素晴らしい。

3曲目<イマジネーション>は、ミディアム・スロー・テンポのバラード。4人の演奏から暖かな雰囲気が漂う中、、ペッパーは艶やかで生き生きとした演奏を繰り広げている。5曲目のペッパーの十八番〈ストレート・ライフ〉は、超高速で演奏され、リズム・セクションはこの速いテンポに動じることなくプレイし、ペッパーの流れるようなフレーズがとどまること知らずにあふれ出す。このテンポの中でチェンバースはアルコ(弓)でソロを取る。

7曲目の〈ティン・ティン・デオ〉は、この作品では異彩を放つラテン調の曲。ペッパーはラテン・リズムに乗って、ラテンの香りを醸し出している。そして、フィリー・ジョーのプレイが光る。8曲目<スター・アイズ〉は、有名なスタンダード。軽快なリズムに乗って、円やかなペッパー、小気味いいガーランド、チェンバースの切れ味いいアルコと、4人が一体となって気持ちいい演奏を聴かせている。


 


ソウル・ジャンクション ‐ レッド・ガーランド  
 

ソウル・ジャンクション
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Birk's Works
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Recorded. November 15, 1959. Prestige.
RED GARLAND piano
JOHN COLTRANE tenor sax
DONALD BYRD trumpet
GEORGE JOYNER bass
ARTHUR TAYLOR drums
1. Soul Junction   15:27
2. Woody'n You   6:47
3. Birk's Works   7:34
4. I've Got It Bad   6:13
5. Hallelujah   6:28 
プレスティッジ時代にジョン・コルトレーンの初リーダー作以来、バックから支えてきたレッド・ガーランドだが、自分のリーダー作吹込みにあたって、今度はサイドメンの一人としてコルトレーンを起用し、さらにドナルド・バードを加えたプレスティッジ名物のブローイング・セッション。

各名人のアドリブの妙技が堪能でき、何ともいえないグループ感が味わえることだ。そして、シンプルで小気味よいプレイが身上のガーランドは、ここでも独特の軽快でシングル・トーンがたっぷりと楽しめる作品になっている。1曲目のタイトル曲は、ガーランドのオリジナル。スロー・ブルースで、約15分に及ぶ長尺曲。ガーランドは、ブルースフィーリングに満ち溢れた華麗なプレイ。ピアノ・トリオがかなり長めの演奏のあと、コルトレーン、バードの力強く響きわたる演奏で盛り上げる。

3曲目ディジー・ガレスピー作曲〈バークス・ワークス〉では、パートでの演奏が印象的で、特にピアノ・パートはすぐれものハード・バップです。デューク・エリントンのバラード〈アイヴ・ガット・イット・バッド〉は、ピアノの心地よい響き、トランペットの雰囲気重視のやや抑え気味の演奏、テナーも文句のつけようがないプレイを展開している。





ウェイ・アウト・ウエスト+3 ‐ ソニー・ロリンズ 
 
  
ウェイ・アウト・ウエスト+3
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I'm An Old Cowhand
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Way Out West
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Recorded. March 7, 1957. Contemporary.
SONNY ROLLINS tenor sax
RAY BROWN bass
SHELLY MANNE drums
1. I'm An Old Cowhand   5:35
2. Solitude   7:47
3. Come Gone   7:47
4. Wagon Wheels   10:08
5. There Is No Greater Love   5:13
6. Way Out West   6:28
7. I'm An Old Cowhand (Alternate Take)   10:08
8. Come Gone (Alternate Take)   10:27
9. Way Out West (Alternate Take)   6:37
 
ソニー・ロリンズはクリフォード・ブラウンの死後、マックス・ローチが引き継いだクインテットにそのまま在籍し、そのローチ・バンドのツアーに帯同してロサンゼルスを訪れたロリンズは、地元のレイ・ブラウンとシェリー・マンから成るリズム・セクションと共演した初のピアノレス・トリオ作品。

収録された6曲は、それぞれ完成度が高く、トリオによる最高のセッションが繰り広げている。以後しばらくは折に触れピアノレスのトリオで活動を行うようになった。ちなみに、この1957年の11月に、ピアノレス・トリオによる「ア・ナイト・アット・ヴィレッジ・ヴァンガード」という傑作ライブを残している。

冒頭の〈俺は老カウボーイ〉は、ジョニー・マーサーの作曲。ロリンズはまるで西部のノンキなカウボーイの風情で、あわてず騒がず、大きなノリで、大らかに楽しそうにテナーを吹いている。続くデューク・エリントンの名曲バラード〈ソリチュード〉では、ロリンズは得意のスタンダードを、心のこもった味のある冴えたアドリブを聴かせる。

4曲目の〈ワゴン・ホイールズ〉は、ゆっくりしたテンポで、ほぼブラウンのベースのみをバックにロリンズのソロは、なんとなくのんびりとした雰囲気の中、悠々とアドリブを聴かせる。タイトル曲の〈ウェイ・アウト・ウエスト〉は、ミドル・テンポのロリンズ作品。ここでもロリンズは、大きくのびのびとソロを展開、又ブラウンのベース・ソロが印象的。


 


ケリー・ブルー+2 ‐ ウィントン・ケリー  
 

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Kelly Blue
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Softly, As in a Morning Sunrise
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Recorded. February 19, March 10, 1959. Riverside.
WYNTON KELLY piano
NAT ADDERLEY cornet
BOBBY JASPAR flute
BENNY GOLSON tenor sax
PAUL CHAMBERS bass
JIMMY COBB drums
1. Kelly Blue   10:41
2. Softly, As in a Morning Sunrise   6:24
3. Green Dolphin Street   4:39
4. Willow Weep for Me   6:03
5. Keep It Moving (Take 4)   7:26
6. Old Clothes   7:37
7. Do Nothin' Till You Hear From Me   4:24
8. Keep It Moving (Take 3)   8:48
 
ウィントン・ケリーの最高傑作。リバーサイド第2作のこの作品は、コルネット、テナー、それに珍しくフルートを加えたセクステットによる演奏が3曲と残りはケリーのレギュラー・トリオによるものである。ユニークな編成によるタイトル曲が良いが、ここでは<朝日のようにさわやかに>をはじめとする有名なスタンダードも魅力。

ケリーの特徴であるシンプルで軽快かつ明快なスイング感、ブルージーでファンキーなピアノ・プレイはあらゆるジャズ・ファンに愛され、1960年代初頭のジャズ界をひときわ華やかなものにした。

冒頭ケリーのオリジナル〈ケリー・ブルー〉は、誰もが認める名曲・名演。単純でノリやすいテーマ・アンサンブルのあと、ファンキーな感じの曲に乗って、各自アドリブが展開される。ボビー・ジャスパーのフルートが印象的。続く〈朝日のようにさわやかに〉は、多くのジャズマンが取り上げるスタンダード。ここでのケリーは、ファンキーなピアノのタッチで最高の演奏を聴かしてくれる。

4曲目のスタンダード〈柳よ泣いておくれ〉は、哀愁感を漂わせ、バラードにおけるケリーの真骨頂が聴かれます。5曲目ケリーのオリジナル〈キープ・イット・ムーヴィング〉は、印象的なテーマで始まるブルージーかつスインギー。この曲も渋くて、かっこいい。メンバーそれぞれソロも楽しくプレイしている優れた曲です 





ファーマーズ・マーケット ‐ アート・ファーマー  
 

ファーマーズ・マーケット
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With Prestige
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Recorded. November 23, 1956. NewJazz .
ART FARMER trumpet
HANK MOBLEY tenor sax
KENNY DREW piano
ADDISON FARMER bass
ELVIN JONES drums
1. With Prestige   5:11
2. Ad-Dis-Un   6:21
3. Farmer's Market   5:49
4. Reminiscing   4:56
5. By Myself   7:02
6. Wailin' With Hank   7:13 
アート・ファーマーというと、ジジ・グライスとの双頭ユニット、あるいはジャズテットなどのベニー・ゴルソンとのコンビの作品が話題に載ることが多いが、この作品はその点目立たないが、ファーマーの代表作の一つに違いない。ハード・バップ全盛にあって、アート・ファーマー、ハンク・モブレーという2人のハード・バッパーが覇気に溢れたハード・バップのサウンドを展開していく。

1曲目ケニー・ドリュー作曲の〈ウィズ・プレスティッジ〉は、とても親しみやすいテーマで始まり、ファーマーの抑制の効いたソロ、続くモブレーも上品なテナー・ソロ、そしてドリューはハード・バップな演奏が素晴らしい。3曲目〈ファーマーズ・マーケット〉はタイトル通りにファーマーのオリジナル。速いテンポで、ピアノ、トランペット、テナーと、本作中では最も力強いソロが展開されます。

4曲目〈レミニッシング〉と5曲目〈バイ・マイセルフ〉は、モブレーが抜けて、ワン・ホーン・カルテット。ファーマーの軽やかで暖かみのある歌いあげも魅力的な2曲です。6曲目モブレーのオリジナル〈ウェイリン・ウィズ・ハンク〉、力強いテーマで始まり、モブレーのテナーが豪快に飛ばし、ファーマーも鋭いアタックの吹奏に変身、このあと、ドリュー、エルビン・ジョーンズとつづき、テーマに戻る。まさにハード・バップな演奏です。

 
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