心地よい軽やかなジャズ |
ブルース・ムーズ ‐ ブルー・ミッチェル | |
![]() ブルース・ムーズ 商品詳細を見る I'll Close My Eyes youtube.com/watch?v... |
Recorded. August 24 and 25, 1960. Riverside. BLUE MITCHELL trumpet WYNTON KELLY piano SAM JONES bass ROY BROOKS drums 1. I'll Close My Eyes 5:55 2. Avars 4:03 3. Scrapple From The Apple 3:57 4. Kinda Vague 6:15 5. Sir John 6:00 6. When I Fall In Love 5:38 7. Sweet Pumpkin 4:14 8. I Wish I Knew 4:23 |
1958年にホレス・シルバーのクインテットに加わって、一躍ハード・バップのスター・トランペッターにのし上がったブルー・ミッチェルの最高傑作。ワン・ホーンでしなやかな語り口を聴かせる。その卓抜なブルース・プレイがなんとも気持ちよい。全体としてはあまり印象度の強くないトタンペッターだが、ここではクリフォード・ブラウン系のよく唱う爽快なプレイで、聴く者のハートをしっかり捉えている。 人気ピアニストのウイントン・ケリーを得て、スタンダードを中心にした名曲の数々が魅力たっぷりに演奏される。ケリーの弾むようなピアノのイントロから始まる有名な<アイル・クローズ・マイ・アイズ>は軽やかで、少し哀愁を感じさせ艶やかなトーン、ミッチェルのトランペットは開放感があって爽やかな演奏。 3曲目のアップテンポで演奏されるチャーリー・パーカー作曲の〈スクラップル・フロム・ジ・アップル〉では、ドラムのロイ・ブルックスが心地よいドライブ感を披露。5曲目ミッチェル作曲の〈サー・ジョン〉は、ファンキーな曲調にトランペットが冴える。 6曲目ビクター・ヤングの名曲〈ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ〉を、ミッチェルは独自のロマンティシズムを持って、このバラードを切々と奏でる。 |
ミスター・クラリネット ‐ バディ・デフランコ | |
![]() ミスター・クラリネット 商品詳細を見る Buddy'sBlues youtube.com/watch?v... Bass On Balls youtube.com/watch?v... |
Recorded. April 15 and 20, 1953. Verve. BUDDY DE FRANCO clarinet KENNY DREW piano MILT HINTON bass ART BLAKEY drums 1. Buddy's Blues 9:03 2. Ferdinando 5:06 3. It Could Happen To Me 4:22 4. Autumn In New York 3:54 5. Left Field 4:01 6. Show Eyes 3:13 7. But Not For Me 7:00 8. Bass On Balls 7:50 |
スイング時代、クラリネットはジャズの花形楽器だった。ところが、モダン・ジャズの時代になると、すっかり影が薄くなってしまう。そんな時代、孤軍奮闘したのがバディ・デフランコ。デフランコは、この時代にジャズマンとして形成期として過ごし、そして、チャーリー・パーカーのバップ・イディオムをクラリネットで表現した、押しも押されぬモダン・クラリネットの第一人者です。 デフランコは1950年代に入って、人気実力の両面で絶頂期を迎え、52年に自己のカルテットを結成して成功。これがこの作品で聴ける。もっとも精力的だった時代の演奏で、メンバーもアート・ブレイキーをはじめ、オールスターで、デフランコの魅力が十分に味わえる代表作です。 1曲目デフランコ作曲の〈バディーズ・ブルース〉は、ブルージーなピアノのイントロから始まり、スローなテンポでありながら、デフランコはエネルギッシュでパワフル、アドリブの冴えといい素晴らしい演奏を聴かせます。続くブレイキー作曲〈フェルディナンド〉は、アップ・テンポの曲で、デフランコの熱いソロ、ブレイキーの豪快なドライブ感が魅力的な曲。 3曲目の〈イット・グッド・ハップン・トゥ・ミー〉は、イントロは静かにメロディを吹きます。ものすごく美しいです。しかし、テーマですぐにリズミックになり、バップ・フレーズ満載のソロへ展開していきます。5曲目ケニー・ドリュー作曲の〈レフト・フィールド〉は、明るく楽しいナンバー。ここでのデフランコは勢いよくスイングするソロ、続くドリューの度量の大きさを感じさせるプレイがいい。 7曲目〈パット・ノット・フォー・ミー〉は、ジョージ・ガーシュウィンの作曲でお馴染みのスタンダード。速いテンポで、デフランコの流れるようなスリリングなプレイ、続くドリューも疾走感溢れるソロ、再びデフランコ登場、まさに淀みなくスピード感に満ち溢れ、激しいプレイが展開していく。8曲目〈ベース・オン・ボールズ〉は、ドリューの作曲。ミディアム・テンポで、デフランコはテンポよく躍動感あふれるプレイ、続いてドリューの小気味よいプレイが堪能でき、この後、又デフランコが切れ味鋭く、自由奔放にノリに乗ったプレイを繰り広げていきます。 |
スマック・アップ ‐ アート・ペッパー | |
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Recorded. October 24 and 25, 1960. Contemporary. ART PEPPER alto sax JACK SHELDON trumpet PETE JOLLY piano JIMMY BOND bass FRANK BUTLER drums 1. Smack Up 4:14 2. Las Cuevas De Mario 7:06 3. A Bit Of Basie 7:23 4. How Can You Lose 6:52 5. Maybe Next Year 4:20 6. Tears Inside 7:42 |
アート・ペッパーの絶頂期の終わりごろで、長期療養に入る直前に録音されたこの作品は、ベニー・カーター、オーネット・コールマン、ハロルド・ランド、ジャック・モンテローズなどのサックス奏者が書いたオリジナル曲の数々をペッパーが力を振り絞ってスリリングなプレイを展開する。 ウエスト・コースト・ジャズの最高峰サックス奏者が、その全てを天性のアドリブセンスとテクニックを持って、吹きまくる様は天才の名に相応しく、レギュラー・メンバーと共に創造的なパフォーマンスを繰り広げる。 タイトル曲〈スマック・アップ〉は、ハロルド・ランドの作曲。比較的速いテンポに、ペッパーは覇気に満ち溢れたプレイ。続く〈ラス・クエバス・デ・マリオ〉は、ペッパーのオリジナル。特徴的なリズムに乗って、ペッパーの豊かなアドリブが力強く鳴りひびく。この曲は77年のライブ、ヴィレッジ・ヴァンガードでも演奏してます。こちらも好演です。 4曲目のベニー・カーター作曲の〈ハウ・キャン・ユー・ルーズ〉は、親しみやすい印象的なテーマ。ペッパーのつややかな音色に乗せて、よく歌う豊かな表現が聴きもの。6曲目の〈内に秘めた涙〉は、オーネット・コールマンの作曲。トランペット・ソロから始まる演奏は、各メンバーが緊張感に富んだ素晴らしいプレイを展開している。 |
静かなるケニー ‐ ケニー・ドーハム | |
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Recorded. November 13, 1959. NewJazz . KENNY DORHAM trumpet TOMMY FLANAGAN piano PAUL CHAMBERS bass ART TAYLOR drums 1. Lotus Blossom 4:36 2. My Ideal 5:04 3. Blue Friday 8:45 4. Alone Together 3:09 5. Blue Spring Shuffle 7:34 6. I Had The Craziest Dream 4:38 7. Old Folks 5:11 8. Mack The Knife 3:02 |
ハード・バップを代表するトランペッター、ケニー・ドーハムの最高傑作であるこの作品は、ファンキーなブルースを吹いても、ミッド・テンポでスタンダード・ナンバーをプレイしても、常にバラード演奏と同じ格調を保ち、しっとりと、じっくりと、聴かせてくれるのだ。これこそがドーハムの真骨頂であり、ここにはその要素が凝縮されているのである。 そして、クールでエレガントな香りを漂わせ心に残る<ロータス・ブロッサム>をはじめ、各曲名曲揃いで、名盤の立役者トミー・フラナガンはここでも素晴らしいし、彼の存在が、この作品の価値をさらに高めている。 1曲目がドーハムのオリジナルで、ジャズ・スタンダードになった〈蓮の花〉、ドーハムのハスキーなトーンでメロディアスなソロを展開していくハード・バップな演奏。再びドーハムの曲〈ブルー・フライデイ〉は、ドーハムの本領が発揮されたミディアム調のブルースで、抑え気味だったドーハムの演奏にもパワーが増していく。続くフラナガンも軽快なリズムに乗って素晴らしい演奏です。 6曲目〈アイ・ハド・ザ・クレイジェスト・ドリーム〉は、ゆったりと情感のこもったトランペット、ピアノ・ソロも良く、各人それぞれの演奏が見事に融合した曲です。最後の〈マック・ザ・ナイフ〉は、クルト・ワイルのミュージカル"三文オペラ"の挿入歌(原題はモリタート、ソニー・ロリンズのサキコロでお馴染み)。ドーハムの軽妙な吹きっぷりがいい感じでこの作品の幕を閉じる。 |
レッド・ガーランズ・ピアノ | |
![]() レッド・ガーランズ・ピアノ 商品詳細を見る Almost Like Being in Love youtube.com/watch?v... |
Recorded. December 14, 1956 and March 22, 1957. Prestige. RED GARLAND piano PAUL CHAMBERS bass ARTHUR TAYLOR drums 1. Please Send Me Someone To Love 9:49 2. Stompin' At The Savoy 3:10 3. The Very Thought Of You 4:13 4. Almost Like Being in Love 4:51 5. If I Were a Bell 6:39 6. I Know Why 4:48 7. I Can't Give You Anything But Love 5:02 8. But Not For Me 5:51 |
この作品は、1950年代半ばからのマイルス・デイヴィスの第一期黄金クインテットのメンバーとして多忙を極めた時期と重なり、名作「グルーヴィー」と同一セッションによる2曲をはじめ、1956年、57年というガーランドの絶頂期に吹き込まれた名盤。 又、極めつけのスタンダードばかり集め、鐘の音を連想させるシングル・トーン、都会的なブルース・フィーリングが冴えるバラード・プレイ、小気味良くスウィングする彼の魅力が詰め込まれたトリオ作品。プレスティッジから第2作となるこの作品は、「グルーヴィー」に負けるとも劣らない内容を誇る一枚。 1曲目の〈プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラブ・ミー〉は、歌手パーシー・メイフィールド自作のブルースで、大ヒットした名曲。スロー・テンポの曲で、ガーランドは重すぎず軽すぎず、しっとりと心地よい演奏。ガーランドの代名詞ブロック・コードを堪能できる名演です。3曲目〈ザ・ベリー・ソウト・オブ・ユー〉では、主メロディと重なる和音の見事なハーモニーが何とも美しい。ブロック・コードの達人に相応しいプレイ。 4曲目〈オールモスト・ライク・ビーイング・ラブ〉は、ガーランドの魅力である小気味良くスウィングする演奏が十分に発揮された最高にいい曲です。8曲目の〈バット・ノット・フォー・ミー〉は、ミディアム・テンポで、ガーランドのシングル・トーンが堪能できる一曲です。ポール・チェンバース、アート・テイラーと相性はすばらしく、気持ちいいスイング感を続けています。 |