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 ヒアズ・リー・モーガン
 
 
ヒアズ・リー・モーガン
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Running Brook
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Recorded. February 3, 1960. VeeJay.
LEE MORGAN trumpet
CLIFF JORDAN tenor sax
WYNTON KELLY piano
PAUL CHAMBERS bass
ART BLAKEY drums
1. Terrible T   5:23
2. Mogie   7:51
3. I'm A Fool To Want You   5:42
4. Running Brook   6:08
5. Off Spring   6:19
6. Bess   6:29 
ジャズ界の潮流がモードやフリー・ジャズへ移行し始めた1960年の作品。リー・モーガンはジャズ・メッセンジャーズに籍を置き、プレイヤーとしてもまさに絶頂期ともいえる時期の作品で、ここでは、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、アート・ブレイキーといった最高のメンバーで脇を固め、筋金入りのハード・バップを余裕たっぷりに演奏している。

1曲目の〈テリブルT〉は、モーガンのオリジナルで、ファンキーな感じの曲。思いっきり吹き抜くモーガン、円やかなクリフ・ジョーダン、軽やかなタッチのケリーと黒人ジャズの魅力に溢れた曲。続く〈モギー〉もモーガン自身のアダ名をタイトルにしたオリジナル。モーガンの躍動感のあるソロ、ジョーダンの重心の低い演奏、ケリーの小気味よいプレイと、素晴らしい演奏を聴かせてくれる。

3曲目の〈アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー〉は、スタンダードのバラード。モーガンがミュートでゆったりとしたヴィブラートを効かせたカリッとした明るい音色を奏でる。ジョーダンの重厚でメロウなテナーが展開。ケリーの叙情的なピアノ・タッチが続く。しみじみとしたいい演奏で、モーガンの名演の一つとされている。

ジャズ・メッセンジャーズで一緒にプレイしているウエイン・ショーターのオリジナル〈ランニング・ブルック〉では、チェンバース、ウィントン、ブレイキーという最強のリズム隊をバックに、最高のハード・バップを聴かせてくれる。6曲目のモーガン作曲〈ベス〉は、モーガンの切れ味鋭いミュート。ジョーダンの穏やかなプレイ。ケリーの踊るピアノ、堅実なサポートのチェンバース。ブレイキーのブラシが終始冴えわたる演奏。 





ザ・モダン・タッチ ‐ ベニー・ゴルソン
 

ザ・モダン・タッチ
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Venetian Breeze
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Recorded. December 19 and 23, 1957. Riverside.
BENNY GOLSON tenor sax
KENNY DORHAM trumpet
J.J. JOHNSON trombone
WYNTON KELLY piano
PAUL CHAMBERS bass
MAX ROACH drums
1. Out Of The Past   6:22
2. Reunion   7:14
3. Venetian Breeze   5:38
4. Hymn To The Orient   4:07
5. Namely You   4:43
6. Blues On Down   11:34
1957年10月に初リーダー作「ニューヨーク・シーン」の吹き込み後、矢継ぎ早に行なわれた同年末のセッション。J.J. ジョンソン、ケニー・ドーハム、マックス・ローチなどオールスターなみのメンバーを率いて、リーダー、アレンジャー、テナー奏者としてのベニー・ゴルソンの実力がフルに発揮された傑作。

ゴルソンのリーダー作2枚目となるこの作品は、テナーにトランペット、トロンボーンという重厚な三管編成でハーモニーを重視する意図がうかがえる。ゴルソンの曲が3曲、ジジ・グライスの曲が2曲、スタンダード1曲となっている。特にゴルソンの曲が素晴らしい。

最初のゴルソン作〈アウト・オブ・ザ・パスト〉は、テーマ曲と全体的なリズムが最高にいい。続く〈リユニオン〉はグライスのオリジナル。このバップ調の曲はJ.J.とドーハムが燃えまくり、熱いビ・バップ・セッションとなっている。3曲目のゴルソン作〈ベネチアン・ブリーズ〉は、ミディアム・テンポのリズムに歌心に溢れたソロの応酬が楽しめる。J.J.とドーハムのプレイが特に印象的です。

5曲目のスタンダード〈ネイムリー・ユー〉は、ゴルソンをフィーチャーしたバラードで、暖かくほのぼのと歌い上げる。6曲目の〈ブルース・オン・ダウン〉は、ゴルソンのゆったりとしたブルース。テーマの後はいつものアーシーなブルースの大会。ローチがいい感じに盛り上がっている。10分超えの長尺曲だが、長く感じさせない感じのいい曲である。


 


インタープレイ+1 ‐ ビル・エヴァンス
 

インタープレイ+1
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I'll Never Smile Again (Take7)
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Recorded. July 16 and 17, 1962. Riverside.
BILL EVANS pianp
FREDDIE HUBBARD trumpet
JIM HALL guitar
PERCY HEATH bass
PHILLY JOE JONES drums
1. You And The Night And The Music   7:00
2. When You Wish Upon A Star   5:42
3. I'll Never Smile Again (Take 7)   6:29
4. Interplay   8:11
5. You Go To My Head   5:01
6. Wrap Your Troubles In Dreams   6:23
7. I'll Never Smile Again (Take 6)   6:36
スコット・ラファロ、ポール・モチアンとのトリオで、相互刺激によるピアノ・トリオ・ミュージックの極限を極めたエバンスだったが、そのラファロが1961年に不慮の事故で他界し、この創造的なトリオが解散を余儀なくされたエバンスは、翌62年チャック・イスラエルを迎えて新トリオをスタートさせる。

この作品は、レギュラー活動とは別に実現したレコーディング・セッションであり、エバンスの数多いリーダー作品の中では極めて珍しいフレディ・ハバード、ジム・ホールらと組んでのハード・バップ作品に仕上がっている。

1曲目の有名曲〈あなたと夜と音楽と〉では、耳慣れたスタンダードに新鮮な息吹が吹込れ、まったく新しい曲として甦っている。ハバードのトランペットが少しだけ控えめに、それでいてあのブリリアントな音色はそのまま聴かせます。ホールのギターも見事なプレイ。

2曲目ディズニー映画 "ピノキオ"で有名な〈星に願いを〉は、テーマ部分をトランペットのハバードでなく、ギターのホールにするにくい演出。ともに美しく、情感溢れた演奏。タイトル曲〈インタープレイ〉は、エバンス作曲のブルース。ホール、ハバードの渋い演奏と、そして、トリオの時とは違う別のエバンスのピアノが聴ける。





 プレンティ・オブ・ホーン ‐ テッド・カーソン
 
 
プレンティ・オブ・ホーン
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Caravan
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Dem's Blues
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Recorded. April 11, 1961. OldTown.
TED CURSON trumpet
BILL BARRON tenor sax
KENNY DREW piano
JIMMY GARRISON bass
ROY HAYNES drums (on 1,3,6,7)
ERIC DOLPHY flute (on 3,7)
DANNY RICHMOND drums (on 2,4,9)
PETE LA ROCA drums (on 5,8)
1. Caravan   2:59
2. Nosruc Waltz   6:23
3. The Things We Did Last Summer   4:29
4. Dem's Blues   3:45
5. Ahma (See Ya)   4:24
6. Flatted Fifth   3:37
7. Bali-H'ai   4:00
8. Antibes   5:07
9. Mr.Teddy   5:15
 テッド・カーソンの名前を、ジャズ・ファンに最初に印象づけたのは、チャールズ・ミンガス1960年の傑作「チャールズ・ミンガス・プレゼンツ・チャールズ・ミンガス」。4人編成でエリック・ドルフィーとフロントを飾り、カーソンは、天性のひらめきのあるプレイを示した。その翌年、同作のドルフィー、ダニー・リッチモンドを迎えての本作は、テッド・カーソンの初リーダー作品で幻の名盤。又OldTownというレーベルの珍らしさでは希少盤でもある。なお、全9曲中、6曲がカーソンのオリジナル曲という構成になっている。。

威勢の良い〈キャラバン〉からスタートします。前奏からアラビアの雰囲気がしっかり出ていて、カーソンの切れのあるトランペット、エネルギッシュなプレイが聴かれます。続く〈ノスラック・ワルツ〉はミディアムテンポの3拍子ワルツ、4曲目の〈デムズ・ブルース〉はファンキーなブルース、素晴らしいカーソンのオリジナル曲です。

ドルフィーは2曲のバラードだけ参加。〈バリハイ〉ではテーマ・メロディを引き立てる見事なオブリガード。映画で見た南太平洋が浮かびます。最後のカーソン作〈ミスター・テディ〉は、目まぐるしくテンポと雰囲気が変わる珍しい曲です。この後、カーソンは当アルバムにも加わっているビル・バロンと組んで前進的なジャズにとりくむのだが、ここではカーソンはくつろいだジャズを演じている。


 


 処女航海 ‐ ハービー・ハンコック
 
 
処女航海
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Maiden Voyage
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Recorded. May 17, 1965. BlueNote.
HERBIE HANCOCK piano
FREDDIE HUBBARD trumpet
GEORGE COLEMAN tenor sax
RON CARTER bass
TONY WILLIAMS drums
1. Maiden Voyage   7:57
2. The Eye Of The Hurricane   6:01
3. Little One   8:47
4. Survival Of The Fittest   10:02
5. Dolphin Dance   9:16 
1950年代後半にマイルス・デイヴィスらが実践したモード・ジャズは、60年代に入りさらにモダンな感覚を伴った演奏へと発展する。マイルス・グループの面々が中心となって、やがて新主流派ジャズと呼ばれた。中でももっとも斬新な音楽性を打ち出したのがリーダーのマイルスとピアニストのハービー・ハンコックだった。そのハンコックが、65年5月にブルーノートへ吹込んだのがリーダー第5作目となる本作品である。

全5曲ハンコックのオリジナルで、曲目の多くは海洋生物学や海を意味し、激しい曲などはありません。演奏は、当時のマイルス・グループのリズム・セクションのロン・カーターとトニー・ウイリアムスに、63年から64年にかけてマイルス・グループに在籍し、ハンコックとも共演したテナーのジョージ・コールマン、それにトランペットのフレディ・ハバード。当時の最新鋭のメンバーで、斬新で緊張感あふれる演奏です。

タイトル曲〈処女航海〉は、コールマンのテナーとハバードのトランペットによるメロディが、壮大な海へこれから航海に出るかのような情景が浮かんで来る印象的なテーマ。コールマンもハバードも曲想に合わせて抑えたソロを展開しています。ハンコックは美しい見事なソロを演奏しています。続く〈ジ・アイ・オブ・ザ・ハリケーン〉も印象的なテーマで始まり、ハバードのソロはエキサイティングに展開している。コールマン、ハンコックも攻撃的なソロ演奏を繰り広げています。

最後の〈ドルフィン・ダンス〉は、ハンコックの代表曲で、美しい曲として人気の高い名曲。ハバードは曲の穏やかさをこわさない範囲で自由にソロを吹き、コールマンも持ち味である甘めのムードを全開しています。ハンコックのソロも素晴らしい演奏となっています。





 ブレーキング・ポイント ‐ フレディ・ハバード
 
 
ブレーキング・ポイント
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Blue Frenzy
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Recorded. May 7, 1964. BlueNote.
FREDDIE HUBBARD trumpet
JAMES SPAULDING alto sax and flute
RONNIE MATHEWS piano
EDDIE KHAN bass
JOE CHAMBERS drums
1. Breaking Point   10:17
2. Far Away   10:58
3. Blue Frenzy   6:23
4. D Minor Mint   6:24
5. Mirrors   6:08
6. Blue Frenzy (Alternate Take)   3:18
7. Mirrors (Alternate Take)   3:23 
1960年代に入り、ブルーノートではモードやフリー・ジャズなど次々と発表されました。64年、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズを辞したフレディ・ハバードは、自身初のグループでのレコーディング、これがブルーノート新主流派を代表する本作である。

最初のタイトル曲〈ブレーキング・ポイント〉は、アップ・テンポのナンバーで、フリー・ジャズ的な雰囲気の中に、カリプソ風なメロディが入る。あくまでフリーな演奏を中心に展開していく。続く〈ファー・アウェイ〉でも新主流派的かつフリー寄りの演奏が続き、ここでは全員が全員凄まじいソロを披露するが、特にジョー・チェンバースが叩き出すソロは、非常に印象的です。

3曲目〈ブルー・フレンジー〉では雰囲気が一変し、3拍子のブルースでハバードのゆったりとした気持ちいい歌いっぷりと、ロニー・マシューズのファンキーなピアノが聴ける。続く4曲目〈Dマイナー・ミント〉は、伸びやかに吹くハバードのスピード感とキレは申し分ない演奏。5曲目チェンバース作のバラード〈ミラーズ〉は、ハバードのトランペットとジェイムス・スポールディングのフルートが、絶妙のハーモニーで、心地よい寛ぎを生み出したバラード・プレイが見事に描き出されている。

 
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